むせたとき水を飲ませるのはNG?高齢者の「むせ」で知っておきたい正しい対応

むせにくい飲み方を紹介するイメージ。高齢男性が良い姿勢で水を少しずつ飲み、家族がそばで見守っている様子。 健康・介護予防
むせを防ぐポイントは「良い姿勢・一口ずつ・ゆっくり」。毎日の水分補給からできる工夫を紹介します。

食事中や水分を飲んだときに、

「ゴホッ、ゴホッ!」

家族がむせると、つい心配になりますよね。

そんなとき、

「水を飲んだら流れるんじゃない?」

と水を渡したくなる人もいると思います。

でも、ちょっと待って。

むせている最中に、さらに水を飲ませるのは避けたほうがいいんです。

そして、もうひとつ。

咳がしっかり出ている人の背中を、いきなり強く叩く必要もありません。

むせたときに大事なのは、まず「咳ができているか」「声が出ているか」「呼吸ができているか」を見ること。

ここ、まじで大事です。

むせているときに水を飲ませないほうがいい理由

「食べ物が引っかかったなら、水で流せばいい」

そう思いますよね。

でも、食べ物が入る食道と、空気が通る気道は別の道です。

もし食べ物や水分が気道に入りかけている状態で、さらに水を飲むと、その水まで気道に入ってしまう可能性があります。

これを「誤嚥(ごえん)」といいます。

日本赤十字社も、窒息が起きているときには液体を飲ませず、まず咳を促すことを案内しています。

だから、

むせた→水を飲ませる

ではなく、

むせた→いったん飲食を止める

これを覚えておくだけでも違います。

まずは本人の「咳」を邪魔しない

ゴホゴホとしっかり咳が出ていて、声も出ている。

この場合は、本人の体が異物を外へ出そうとしています。

まずは座ったまま、または立ったまま少し前かがみになり、咳を続けてもらいます。

水も食べ物も薬も、いったんストップ。

口の中に食べ物が残っていれば、無理に飲み込まず出してもらいます。

日本赤十字社でも、咳ができる場合は咳をさせることが基本とされています。

「背中を強く叩けばいい」わけではありません

これもよく見る光景です。

むせた瞬間に、

「大丈夫!?」

バンバンバン!

と背中を叩く。

心配だからこその行動なんですが、普通に咳ができているなら、まず咳を続けてもらうのが基本です。

背中を強く叩く「背部叩打法」は、声が出ない、十分な咳ができないなど、気道が強くふさがれている可能性があるときに行う応急手当です。

単なるむせと窒息では、対応が違うわけです。

これだけ覚える「むせたときの3チェック」

難しく覚えなくても大丈夫です。

① 声は出る?

「大丈夫?」と声をかけます。

返事ができるなら、空気はある程度通っています。

② 咳はできる?

しっかりゴホゴホ咳ができるなら、その咳を続けてもらいます。

無理に水を飲ませません。

③ 息はできる?

声が出ない。

咳もできない。

息ができない。

顔色が青黒くなってきた。

こうした場合は、重い気道閉塞が疑われます。

すぐに119番通報を。

周囲に人がいれば、通報やAEDの準備を頼みます。

そのうえで、背部叩打法や腹部突き上げ法などの応急手当を行います。

反応がなくなり、普段どおりの呼吸がなければ、心肺蘇生が必要になります。

※妊娠している方、高度な肥満の方、乳児などでは腹部突き上げ法を行わないなど、対応が異なる場合があります。

むせが止まったから「もう大丈夫」とは限らない

ここも知っておきたいところです。

むせたあとに咳が止まると、

「出たみたい。よかった」

と思いますよね。

ところが、日本摂食嚥下リハビリテーション学会の資料では、激しくむせても、気管内に誤嚥したものが残っている例が示されています。

反対に、気道へ入ってもほとんどむせない「不顕性誤嚥」と呼ばれる状態もあります。

だから、むせの回数だけでは判断できません。

食事のたびによくむせる。

食後に声がガラガラする。

咳が続く。

以前より食べる量が減った。

こんな変化が続くなら、一度医師などに相談したほうが安心です。

高齢になると「飲み込む力」もチェックしたい

年齢を重ねると、足腰だけでなく、口やのどの働きも少しずつ変わります。

食べることは、ただ栄養を取るだけじゃありません。

家族と食卓を囲む。

好きなものを味わう。

自分で食べる。

こういうことも、その人らしい生活の大切な一部です。

日本老年医学会でも、高齢者医療では栄養や口腔・嚥下機能が重要なテーマとして位置づけられています。

むせるのが怖くて水分や食事を減らしてしまうと、栄養や水分不足につながることもあります。

だから「むせたから飲ませない」で終わりじゃないんです。

安全に食べたり飲んだりできる方法を探す。

こっちが大事。

今日からできる「むせにくい飲み方」

特別なことばかりじゃありません。

姿勢を整える

椅子に深く腰をかけ、体を安定させます。

あごを大きく上げたまま飲まないことも大切です。

一気飲みをしない

ゴクゴク一気に飲むより、少量ずつ。

飲み込んだことを確認してから次へ。

なお、「何mLずつ」「何秒空ける」といった一律の数値は、今回確認した公的資料では確認できません。

飲み込みやすい量には個人差があります。

飲みながら話さない

口の中に水や食べ物があるときは、まず飲み込む。

話すのはそのあと。

単純ですが、意外と大切です。

繰り返すなら自己流でとろみを濃くしすぎない

「むせるなら、とろみをつければいい」

これも少し注意。

日本摂食嚥下リハビリテーション学会は、とろみが強すぎると飲み込みにくくなったり、摂取量が減ったりする場合があるとして、本人に合った濃さを選ぶことを勧めています。

家族の声かけは「急がなくていいよ」で十分

高齢の家族がむせると、

「もっとゆっくり!」

「ちゃんと飲み込んで!」

と言いたくなることもあります。

でも、食事のたびに注意されると、食べること自体がしんどくなってしまうこともあります。

そんなときは、

「急がなくていいよ」

「一回休もうか」

「落ち着いてから次にしよう」

くらいで十分。

できていないところを指摘するより、安心して食べられる環境をつくる。

介護予防では、こういう小さな工夫も大切だと思っています。

まとめ|むせたら「水」ではなく、まず咳と呼吸を見る

むせたときに覚えておきたいことはシンプルです。

しっかり咳ができるなら、まず咳を続ける。

その間、水や食べ物を追加しない。

声が出ない、咳ができない、息ができないなら、すぐ119番。

そして、むせが何度も続くなら「年だから仕方ない」で終わらせない。

飲み込みや食事の状態を一度見直してみる。

それだけでもいいんです。

健康づくりって、運動だけじゃありません。

食べること、飲むこと、歩くこと、眠ること。

全部つながっています。

できるところから、少しずつで大丈夫です。


「最近、食事中にむせることが増えてきた」

「親の体力や食事の様子が少し気になる」

「施設や地域で、介護予防についてわかりやすく伝えてほしい」

まだ相談するほどじゃないかな……という段階でも大丈夫です。

Well Aging Support やわらぎでは、京都市周辺を中心に、運動だけを見るのではなく、日々の生活も含めた無理のない介護予防・健康づくりを一緒に考えています。

個人の方、ご家族、施設、地域団体の方もお気軽にご相談ください。

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