年齢を重ねても、穏やかに自分らしく暮らしたい。
そのために大切なのは、お金や地位だけではありません。毎日の食事、運動、睡眠、人とのつながりも、心の安定や生活の満足感を支えています。
なかでも注目されるのが、脳内の神経伝達物質「セロトニン」です。
ただし、「肉をたくさん食べれば幸せになれる」「コレステロールは気にしなくてよい」という単純な話ではありません。
無理なく続けられる食事と生活習慣から、心と体を整えていきましょう。

セロトニンは心の安定を支える物質
セロトニンは、脳の神経細胞どうしが情報を伝えるために使う物質です。
ドーパミンやノルアドレナリンなどの働きを調整し、精神の安定に関係しています。厚生労働省の情報でも、セロトニンは必須アミノ酸のトリプトファンから作られると説明されています。
セロトニンの働きが乱れると、気分の落ち込み、不安、イライラ、睡眠の乱れなどに関係することがあります。
ただし、幸福感はセロトニンだけで決まるものではありません。
健康状態、経済状況、家族や友人との関係、住環境、生きがいなど、多くの条件が影響します。「この食品を食べれば幸せになれる」と考えず、生活全体を整えることが大切です。

セロトニンの材料になるトリプトファン
トリプトファンは、体内で十分に作れないため、食事から取る必要がある必須アミノ酸です。

肉だけに偏らなくても大丈夫
トリプトファンを含む食品には、次のようなものがあります。
・肉類
・魚介類
・卵
・牛乳、ヨーグルト、チーズ
・豆腐、納豆、豆乳などの大豆製品
・ナッツ類
高齢になると、食欲の低下や噛みにくさなどから、たんぱく質が不足することがあります。
不足が続けば、筋肉量や体力が低下し、転倒や外出機会の減少につながる可能性があります。活動量が落ちれば、人と会う機会も減り、生活の楽しみを感じにくくなることがあります。
高齢者の食事では、肉だけでなく、魚、卵、大豆製品、乳製品など、さまざまなたんぱく源を組み合わせることが勧められます。

主食も一緒に食べる
トリプトファンを含む食品だけを食べればよいわけではありません。
ご飯、パン、麺類などの主食、野菜や海藻を使った副菜も組み合わせましょう。
基本は「主食・主菜・副菜」です。
たとえば、次のような組み合わせなら始めやすいでしょう。
・ご飯、焼き魚、みそ汁、野菜のおひたし
・トースト、ゆで卵、ヨーグルト、果物
・うどん、豆腐、わかめ、卵
・ご飯、納豆、具だくさんのみそ汁
毎食完璧にそろえる必要はありません。まずは、1日2回程度、手のひらにのるくらいの主菜を意識してみましょう。
腎臓病などでたんぱく質の制限を受けている方は、自己判断で増やさず、医師や管理栄養士に相談してください。

コレステロールは「無視してよい」わけではない
コレステロールは、細胞膜やホルモンなどの材料になる必要な物質です。
一方で、血液中のLDLコレステロールが高い状態を放置すると、動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳梗塞などのリスクが高まります。
一般の健康な人については、食品から取るコレステロールに一律の上限は設定されていません。
しかし、脂質異常症がある人やリスクの高い人については、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」で、重症化予防のため1日200ミリグラム未満が望ましいとされています。
「卵や肉を一切食べない」のも、「数値を気にせず脂身をたくさん食べる」のも極端です。
健康診断でLDLコレステロールが高いと言われた方は、自己判断で食事を変える前に、医師や管理栄養士へ相談しましょう。

食事と一緒に取り入れたい3つの習慣

朝に明るい光を浴びる
起きたらカーテンを開け、朝の光を浴びましょう。
朝の光は体内時計を整え、夜の睡眠リズムを作る助けになります。
暑い時期は無理に外へ出ず、熱中症に注意してください。

10分から歩いてみる
ウォーキングのような一定のリズムで行う運動は、気分転換や睡眠、体力維持に役立ちます。
最初は1回10分、週3日程度でも構いません。
歩行に不安がある場合は、椅子に座って足踏みをする方法でも始められます。息が苦しい、胸が痛い、強いめまいがある場合は中止してください。

人と話す時間をつくる
家族との食事、友人への電話、地域活動への参加も大切です。
人とのつながりを保ち、体を動かし、健康的な食事を取ることは、高齢期の認知機能を支える生活習慣として紹介されています。
家族が支えるときは、「ちゃんと食べて」ではなく、次のように声をかけてみましょう。
「一緒に卵を一品足してみようか」
「天気がいいから、少しだけ歩いてみない?」
「全部できなくても大丈夫だよ」
本人が選べる言い方にすると、押しつけられている感覚が減り、行動につながりやすくなります。

続けるコツは「一つだけ決める」
人は、大きな目標よりも、すぐ実行できる小さな行動のほうが続きやすいものです。
今日から行うことを、一つだけ決めてください。
・朝食に卵か納豆を加える
・昼食に魚や豆腐を選ぶ
・朝にカーテンを開ける
・食後に10分歩く
・週に1回、誰かと話す
できた日は、カレンダーに丸をつけます。
記録が見えると、「せっかく続いているから今日もやろう」という気持ちが生まれやすくなります。毎日できなくても、翌日から再開すれば十分です。

まとめ
老後の幸福感は、特定の食べ物や脳内物質だけで決まるものではありません。
心と体を支える基本は、たんぱく質を含むバランスのよい食事、朝の光、適度な運動、十分な睡眠、人とのつながりです。
肉だけに偏らず、魚、卵、乳製品、大豆製品などを食べやすい形で取り入れてみましょう。
気分の落ち込みや不眠、食欲低下が長く続く場合は、「年齢のせい」と決めつけず、医療機関へ相談してください。

Well Aging Support やわらぎでは、運動だけに偏らず、食事や睡眠、外出習慣なども含め、その方の体力や生活に合った健康づくりを一緒に考えます。
京都市周辺で介護予防を始めたい方や、親の体力低下、もの忘れ、外出機会の減少が気になる方も、無理のない一歩から始めてみませんか。
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