1日5〜15分から始める脳の健康習慣|90代まで参加した研究からわかったこと

明るい室内でノートを書く高齢女性と、散歩や会話を楽しむ高齢者の様子。「脳は、まだ育つ。15分の習慣でやさしく整える」と書かれた健康記事のアイキャッチ画像。 健康づくり・生活習慣
考える・動く・休む・人とつながる。毎日の短い習慣が、脳の健康を支える一歩になります。

「最近、人の名前が出てきにくい」

「前より集中が続かなくなった気がする」

このような変化があると、「年齢だから仕方がない」と思ってしまうかもしれません。

しかし、脳の働きは年齢だけで決まるものではありません。

19歳から94歳までの3,966人を追跡した研究では、脳の健康を意識した学習や生活習慣に取り組んだ人たちに、年齢を問わず良い変化が確認されました。

大切なのは、難しい脳トレを長時間続けることではありません。

まずは1日5〜15分ほど、考える、休む、人と話す、体を動かすといった時間をつくることです。

今日から無理なく始められる方法を見ていきましょう。

年齢を重ねても脳は変化する可能性がある

テキサス大学ダラス校の研究では、19歳から94歳までの成人3,966人が参加しました。

参加者はオンラインで、考え方のトレーニング、睡眠やストレスに関する学習、生活習慣づくり、専門スタッフによる助言などに取り組みました。

研究期間は最長3年間です。

その結果、年齢、性別、教育歴にかかわらず、脳の健康状態を示す得点に良い変化が見られました。

特に、学習や生活習慣づくりに積極的に取り組んだ人ほど、得点の伸びが大きい傾向が確認されています。

ただし、この研究だけで「脳トレをすれば認知症を防げる」と証明されたわけではありません。

比較するためのグループがない研究であり、参加者も主に健康な成人でした。

それでも、年齢を理由に諦めず、日々の過ごし方を見直す価値があることを示す結果といえます。

研究で測定された「脳の健康」とは

研究では「脳健康指数」という独自の指標が使われました。

これは、単純な記憶力だけを測るものではありません。

主に次の3つをまとめて評価しています。

・物事を整理し、考え、判断する力
・人とのつながりや生活の目的
・気持ちの安定やストレスへの対応

さらに、睡眠、運動、社会的な支え、生活の満足度なども含まれます。

つまり、脳の健康は「記憶問題の点数」だけではなく、生活全体と関係しているという考え方です。

なぜ短い習慣が脳によいと考えられるのか

脳には、経験や学習に応じて働き方を変える性質があります。

これを「脳の可塑性」といいます。

簡単にいうと、脳は使い方や環境に合わせて変化する可能性があるということです。

たとえば、新しいことを考える、人と会話する、散歩をする、十分に眠るといった行動は、それぞれ異なる形で脳の働きを支えます。

反対に、睡眠不足、運動不足、人との交流の減少、強いストレスが続くと、集中しにくい、考えがまとまりにくい、外出が面倒になるといった困りごとにつながることがあります。

ひとつの方法だけに頼るのではなく、運動、休養、交流、考える活動を少しずつ組み合わせることが大切です。

今日からできる「脳のための15分習慣」

最初から毎日15分続ける必要はありません。

まずは5分でも十分です。

5分:情報を減らして一つに集中する

スマートフォンやテレビを止めて、一つのことだけに集中します。

新聞を一記事読む、献立を考える、写真を整理するなど、身近なことで構いません。

研究で使われたトレーニングにも、情報を減らし、大切なことに注意を向ける考え方が含まれていました。

5分:体を動かす

椅子からの立ち座り、かかと上げ、その場歩き、近所の散歩などを行います。

高齢の方は、安定した椅子や壁につかまり、安全を優先してください。

会話ができる程度の強さを目安にし、息切れや痛みがあるときは中止しましょう。

5分:人や目的とつながる

家族に電話する、友人へ短いメッセージを送る、翌日の楽しみを一つ書くなどがおすすめです。

人とのつながりや生活の目的も、研究では脳の健康を構成する大切な要素として扱われています。

一人で過ごすことが好きな方は、無理に大勢と交流する必要はありません。

安心できる相手と、短時間つながるところから始めましょう。

高齢者が続けやすくする3つの工夫

毎日の行動と組み合わせる

「朝食後に5分歩く」

「お風呂の前にかかとを10回上げる」

このように、すでに行っている習慣の後に加えると忘れにくくなります。

実施した日に印をつける

カレンダーに丸をつけるだけでも構いません。

結果ではなく「今日も取り組めた」と確認することが、継続の助けになります。

できなかった日は空白のままで大丈夫です。

翌日から再開しましょう。

最初の目標を小さくする

「毎日15分」ではなく、「今週は3日、5分だけ」と決めます。

始める負担を小さくすると、行動に移しやすくなります。

慣れてきたら、5分から10分、10分から15分へと増やしましょう。

家族は結果より「始めたこと」を認める

家族が「もっと頑張らないと」「さっきも言ったでしょう」と声をかけると、本人が自信をなくしてしまうことがあります。

おすすめは、次のような声かけです。

「一緒に5分だけ歩こうか」

「昨日より少し楽そうだね」

「続けていることがすごいね」

できた回数や成績だけでなく、始めたことや続けたことを認めましょう。

本人に選んでもらうことも大切です。

「散歩と体操、今日はどちらにする?」と二つから選べるようにすると、自分で決めた感覚を持ちやすくなります。

脳トレだけに偏らないことも大切

脳の健康は、計算問題やパズルだけで決まるものではありません。

睡眠、食事、運動、人との交流、持病の管理なども関係します。

急にもの忘れが増えた、同じことを何度も尋ねる、お金や薬の管理が難しくなった、道に迷うようになったなど、生活への影響が出ている場合は、自己判断で脳トレだけを続けないでください。

かかりつけ医や、地域包括支援センターなどへの相談を検討しましょう。

まとめ

年齢を重ねると、情報を処理する速さなど、一部の能力は変化しやすくなります。

一方で、脳には経験や習慣に応じて変わる可能性があります。

今回の研究では、19歳から94歳までの参加者に良い変化が見られ、取り組みへの関わりが深い人ほど得点が伸びる傾向が示されました。

ただし、15分の脳トレだけで認知症を防げるという意味ではありません。

大切なのは、考える、動く、休む、人とつながる時間を生活の中に少しずつつくることです。

今日から5分。

できることを一つ選ぶところから始めてみましょう。

「最近、体力やもの忘れが少し気になる」

「親の健康づくりを、どのように支えたらよいかわからない」

「施設や地域で、無理のない介護予防を始めたい」

そのような段階から相談して大丈夫です。

Well Aging Support やわらぎでは、運動だけに偏らず、生活習慣や続けやすさも含めて、一人ひとりに合った健康づくりを一緒に考えます。

京都市周辺で介護予防や健康づくりを始めたい個人、ご家族、施設、地域団体の方は、どうぞ気軽にご相談ください。

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