「最近、何もないところでつまずくことが増えた」
「足が疲れやすくなった気がする」
「運動が必要なのは分かるけれど、きつい運動は続かない」
そんな方におすすめしたいのが、椅子を使った「かかと上げ運動」です。
必要な時間は約2分。
特別な道具も広い場所も必要ありません。
台所やリビングで、椅子の背もたれにつかまりながら始められます。
ただし、かかと上げだけで老化を完全に防げるわけではありません。
それでも、年齢とともに弱くなりやすいふくらはぎを動かし、歩く力を守るための小さな一歩になります。

かかと上げ運動とは?
かかと上げ運動は、立った状態でかかとを持ち上げ、ゆっくり下ろす運動です。
主にふくらはぎの筋肉を使います。
ふくらはぎは、歩くときに地面を後ろへ蹴り出したり、立っている姿勢を支えたりする大切な場所です。
この筋肉が弱くなると、足を前へ運びにくくなったり、ふらつきやすくなったりする場合があります。
かかと上げは動きが分かりやすく、運動が苦手な方にも取り入れやすいのが特徴です。

かかと上げに期待できること

ふくらはぎの筋力を保つ
かかとを上げる動作では、ふくらはぎの筋肉に自分の体重がかかります。
重たい器具を持たなくても行える、自分の体重を利用した筋力トレーニングです。
筋力を保つことは、歩く、立ち上がる、階段を上るといった日常動作を続けるために役立ちます。

歩くときの安定につながる
ふくらはぎは、歩行中に体を前へ進める働きをしています。
かかと上げだけで転倒を必ず防げるわけではありませんが、下半身の筋力づくりの一つとして取り入れられます。
転倒予防を考える場合は、かかと上げだけでなく、ウォーキングやバランス運動、太ももの筋力トレーニングなども組み合わせることが大切です。

ふくらはぎを動かす習慣になる
ふくらはぎの筋肉が動くと、脚にたまった血液を心臓へ戻す働きを助けます。
長時間座りっぱなしになったときに、足首やふくらはぎを動かす習慣として活用できます。
ただし、むくみの原因には心臓、腎臓、血管などの病気が隠れていることもあります。
片脚だけが急に腫れた場合や、痛み、熱っぽさ、息苦しさがある場合は、運動で様子を見ず医療機関へ相談してください。

2分でできる基本のかかと上げ

①椅子の後ろに立つ
安定した椅子の背もたれ側に立ちます。
キャスター付きの椅子や、軽くて動きやすい椅子は避けてください。
足は腰幅程度に開き、つま先を正面へ向けます。
手は椅子に軽く添えます。
バランスが不安な方は、両手でしっかり持ちましょう。

②かかとをゆっくり上げる
息を止めず、かかとをゆっくり持ち上げます。
できる範囲で構いません。
高く上げることよりも、体をまっすぐ保つことを優先しましょう。
親指側だけ、小指側だけに偏らないように、足の裏全体へ均等に体重をのせます。

③かかとをゆっくり下ろす
持ち上げたかかとを、2秒ほどかけてゆっくり下ろします。
床へドンと落とさないことがポイントです。
上げる動作よりも、下ろす動作を丁寧に行いましょう。

何回やればよい?
初めての方は、まず10回から始めます。
余裕が出てきたら、次の回数を目安にしてください。
・10回を1~2セット
・慣れてきたら20~30回
・週2~3日から始める
・体力に余裕があれば、日常生活の中でこまめに行う
20~30回を丁寧に行うと、約1~2分です。
回数を多くするより、反動を使わず安全に行うことが大切です。
翌日まで強い痛みや疲労が残る場合は、回数を半分程度に減らしましょう。

高齢者でも始めやすくする工夫

座った状態から始める
立って行うのが不安な方は、椅子に座った状態でかかとを上げます。
両足を床につけ、つま先を残したまま、かかとだけを持ち上げましょう。
立って行う方法より負荷は軽くなりますが、ふくらはぎを動かす練習になります。

高く上げようとしない
かかとが少ししか上がらなくても問題ありません。
「どこまで上がったか」よりも、「安全に筋肉を使えたか」を大切にしてください。

裸足で無理をしない
滑りやすい床では、裸足や靴下だけで行うと危険な場合があります。
滑りにくい室内履きや運動靴を使い、周囲に物がない場所で行いましょう。

かかと上げと脳の健康との関係
運動習慣は、体だけでなく脳の健康にも関係すると考えられています。
体を動かすと血流が促され、外出や人との交流につながる機会も増えます。
こうした生活習慣は、認知機能を守るうえでも大切です。
ただし、「2分間のかかと上げだけで記憶力が上がる」と確認できる十分な根拠はありません。
脳の健康を考える場合は、かかと上げに加えて、ウォーキング、バランスのよい食事、十分な睡眠、人との交流などを組み合わせましょう。

安全に行うための注意点
次の状態がある方は、無理に続けないでください。
・足首、膝、かかと、アキレス腱に痛みがある
・立っているだけでふらつく
・運動中に胸の痛みや強い息切れが出る
・めまいや吐き気がある
・医師から運動を制限されている
治療中の病気がある方や、転倒経験がある方は、医師やリハビリ専門職などに相談してから始めると安心です。

無理なく続ける3つのコツ

「毎日やる」と決めすぎない
最初から毎日行おうとすると、できなかった日に嫌になりやすくなります。
まずは「週に2~3回できれば合格」と考えましょう。

すでにある習慣と組み合わせる
歯みがきの前、電子レンジの待ち時間、テレビのCM中など、毎日行っている行動の直後に組み合わせます。
「時間ができたらやる」よりも、始めるきっかけが分かりやすくなります。

カレンダーに丸をつける
できた日はカレンダーに丸をつけます。
運動の効果はすぐに見えにくくても、続けた回数は目に見えます。
丸が増えることが、次の行動を始める後押しになります。

まとめ
かかと上げ運動は、椅子があれば約2分で始められる簡単な運動です。
ふくらはぎを動かし、歩く力や立っている姿勢を支える筋力づくりに活用できます。
まずは椅子につかまり、ゆっくり10回から始めてみてください。
大切なのは、頑張りすぎることではありません。
痛みなく安全に、生活の中で少しずつ続けることです。
「自分の動き方が合っているか不安」
「体力に合った運動を教えてほしい」
「転びにくい体づくりを始めたい」
Well Aging Support やわらぎでは、年齢や体力、体の状態に合わせた介護予防運動を分かりやすくお伝えしています。

一人で無理をせず、できる方法を一緒に見つけていきましょう。
運動が苦手な方や、体力に自信がない方もご相談いただけます。
ご本人だけでなく、ご家族、地域団体、介護施設からのご相談にも対応しています。


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