「昔はかなり飲んでたけど、今は減らしてるから大丈夫かな」
そんなこと、ふと思う人もいるかもしれません。
最近発表された研究では、若い頃に強いアルコールの影響とストレスを受けたマウスに、長く残る脳の変化が見つかりました。3か月お酒を与えなかったあとでも、考えをパッと切り替える力に低下がみられたんです。
ただし、ここは大事。
「昔飲んでいたら、もう脳は戻らない」なんて話ではありません。
人では、飲酒をやめたり減らしたりすることで改善する脳機能があることも分かっています。
怖がるより、「じゃあ今日から何を変える?」と考えるほうが大切なわけさ。

過去の飲酒とストレスが脳に残る可能性
今回の研究では、C57BL/6Jというマウスに、アルコールへの曝露と強いストレスを繰り返しました。
その後、約3か月間アルコールを断ち、中年期にあたる11か月齢で脳の働きを調べています。

記憶そのものより「切り替える力」に変化
普通の場所を覚える力は大きく落ちていませんでした。
ところが、
「さっきまで正解だった場所が変わった」
という場面になると、間違いが増えました。
これが認知の柔軟性です。
難しく聞こえますが、
「予定が変わったから別の方法にしよう」
「いつものやり方がダメだから違う方法を試そう」
みたいな、頭を切り替える力のこと。
生活するうえでは、まじで大事な力です。

脳の「青斑核」という場所にも変化がみられた
研究で注目されたのが「青斑核(せいはんかく)」という脳の小さな場所です。
青斑核は、注意したり、目を覚ましたり、状況に合わせて行動を変えたりする働きに関係しています。
今回のマウスでは、過去にアルコールとストレスを受けたグループで、この部分に細胞ストレスなどの変化が確認されました。
だからといって、
「お酒を飲む=認知症になる」
という意味ではありません。
しかもこれはマウス研究。
人間で同じことがそのまま起こるとは確認されていません。

じゃあ、禁酒や減酒は意味がないの?
むしろ逆です。
アメリカ国立アルコール乱用・依存症研究所(NIAAA)は、長期間飲酒を控えることで、アルコールによって変化した脳機能の一部が改善する可能性を紹介しています。数か月の禁酒で改善した研究もあります。
つまり、
「すぐ全部元通り」ではない。
でも「今さら遅い」でもない。
ここを間違えたくないところです。
介護予防でも同じで、過去を責めても体は変わりません。
今日の生活を少し変える。
その積み重ねのほうが大事です。

まずは「何杯」ではなくアルコールの量を見る
厚生労働省は、飲酒量を「純アルコール量」で見ることを勧めています。
たとえば、
ビール500ml・アルコール5%=純アルコール約20g
です。
計算式は、
飲んだ量(ml)×アルコール度数×0.8
です。
「今日は2本だけ」
より、
「純アルコールを何g飲んだ?」
と考えるほうが分かりやすい。

60g以上の一気飲みは避けたい
厚生労働省では、1回の飲酒機会で純アルコール60g以上になる一時多量飲酒は避けるよう示しています。
ビール5%なら500ml缶3本で約60gです。
毎回ピッタリ計算する必要はありません。
まず自分が普段どれくらい飲んでいるか知る。
そこからで十分です。

今日からできる「脳と体を守る飲み方」

最初に飲む量を決めておく
「もう一杯だけ」が続くと量は増えやすいもの。
飲み始める前に、
「今日はここまで」
と決めておく。
厚生労働省も、あらかじめ量を決めて飲む方法を勧めています。

お酒の間に水や炭酸水を入れる
お酒→水→お酒。
これだけでもペースを落としやすくなります。
食事をしながら飲むことも勧められています。

1週間の中に「飲まない日」を入れる
毎日飲むのではなく、飲まない日を作る。
厚生労働省も、週の中に飲酒しない日を設け、継続して毎日飲むことを避けるよう示しています。
何曜日にするか決めてしまうと楽です。
たとえば、
「月曜日は飲まない」
くらいから。
完璧な禁酒じゃなくていいんです。

ストレス解消を「お酒だけ」にしない
今回の研究でもポイントになったのが、アルコールとストレスの組み合わせでした。
仕事で疲れた。
家族のことでイライラした。
眠れない。
そこで毎回お酒。
これが習慣になると、量が増えやすくなります。
厚生労働省も、不安や不眠を解消する目的で飲酒を続けることは避けるよう示しています。
代わりに、
10分だけ歩く。
風呂に入る。
音楽を聴く。
炭酸水を飲む。
何でもいいんです。
「ストレス=酒」の一本線を、少し枝分かれさせておく感じです。

高齢になるほど飲酒量には少し注意
年齢を重ねると、若い頃より体の水分量が減り、同じ量でもアルコールの影響を受けやすくなります。
厚生労働省のガイドラインでは、高齢者では飲酒による転倒・骨折や筋肉量低下などにも注意が必要としています。
介護予防の立場で考えると、ここは見逃せません。
酔って転ぶ。
翌朝ふらつく。
食事量が減る。
運動する気にならない。
こうした小さな変化が重なると、足腰の弱りにもつながりかねません。

家族は「飲みすぎ!」より一言でいい
家族がお酒を減らしてほしいと思っても、
「また飲んでるの?」
「身体に悪いよ」
と言われると、反発したくなるものです。
それより、
「今日は一緒に炭酸水にする?」
くらいでいい。
責めるより、選択肢を一つ増やす。
そのほうが続きやすいんですよね。

まとめ|過去より、これからの一杯を考える
今回の研究から分かったのは、過去の強いアルコール曝露とストレスの影響が、禁酒後もしばらく残る可能性があるということです。
ただしマウス研究なので、人間でも同じとは言い切れません。
そして、人の研究では飲酒をやめたり減らしたりすることで、脳機能が改善する可能性も示されています。
だから、
「昔かなり飲んだから手遅れだ」
なんて考えなくて大丈夫。
今日の一杯を少し減らす。
水をはさむ。
飲まない日を作る。
10分歩く。
そのくらいからでいいんです。
脳の健康も介護予防も、派手なことより日々の積み重ね。
できる日から、少しずつです。

「最近、体力が落ちてきた気がする」
「親のもの忘れや生活習慣が少し気になる」
「お酒だけでなく、運動や生活全体を見直したい」
まだ介護予防なんて早いかな、という段階でも大丈夫です。
Well Aging Support やわらぎでは、運動だけに偏らず、普段の生活や体力に合わせて無理なく続けられる健康づくりを一緒に考えています。
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