「最近、人の名前がすぐ出てこない」
「親が家にいる時間ばかり増えてきた」
そんな変化があると、認知症が頭をよぎることもありますよね。
そこでまず考えてほしいのが、外に出て体を動かすことです。
高い道具はいりません。特別な脳トレも必要ありません。
玄関を出て、近所を少し歩く。買い物に行く。公園まで行く。
たったそれだけでも、体だけではなく脳にもいろいろな刺激が入ります。
ぶっちゃけ、認知症予防は「これ一つやれば大丈夫」というものではありません。
でも、歩く・人と会う・自分でできることを続ける。
これは今から取り入れやすい、大事な土台です。

なぜ「歩くこと」が脳にもいいの?
歩くと足腰を使うだけではありません。
外に出れば、
「今日は暑いな」
「あのお店が変わったな」
「信号が青になった」
「知り合いに会った」
こんな情報が次々と入ってきます。
目で見る。音を聞く。道を考える。人と話す。
脳はけっこう忙しいわけです。
WHO(世界保健機関)も、認知症リスクを下げるための大切な生活習慣として、身体活動、社会的な交流、知的な活動などを挙げています。
2024年のLancet委員会では、運動不足や社会的孤立、高血圧、糖尿病、難聴など14の要因を改善することで、認知症の発症を予防または遅らせられる可能性があると報告されています。14項目全体の人口寄与割合は約45%でした。
もちろん「45%の人が必ず認知症にならなくなる」という意味ではありません。
生活の中には、変えられる部分が意外とたくさんある。そう考える数字です。

「旅行が認知症予防に最強」は本当?
元の記事では「小旅行がいちばん効果的」と紹介されています。
旅行そのものを認知症予防の「最強の治療法」とする十分な医学的根拠は、確認できません。
ただ、旅行にはおもしろいところがあります。

自然といろいろなことを同時にする
駅まで歩く。
電車に乗る。
景色を見る。
「次はどこだっけ?」と考える。
家族と話す。
食事を楽しむ。
つまり旅行は、運動・会話・判断・新しい刺激が一度に入りやすいんですね。
だから遠くまで行かなくてもいいんです。
隣町へランチに行く。
いつもと違うスーパーへ行く。
季節の花を見に行く。
これだって立派な「小さなお出かけ」です。
まじで大事なのは旅行そのものより、家の中だけで一日が終わらない日をつくることだと思います。

高齢者はどれくらい歩けばいい?
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、高齢者について、歩行またはそれと同程度以上の身体活動を1日40分程度、約6,000歩相当行うことが一つの目安とされています。筋力・バランス・柔軟性を組み合わせた運動もすすめられています。
ただし、いきなり6,000歩を目指さなくて大丈夫。
普段1,500歩くらいの人が、明日から6,000歩。
これはしんどいです。

最初は「いつもより10分」でいい
まずは、
- 朝に家の周りを10分歩く
- 買い物で店内を少し多めに歩く
- エレベーターを待つ間に足踏みする
- 昼食後に家の前まで出る
- 週1回は家族と少し遠くへ出かける
こんなところからで十分です。
「運動するぞ」と気合いを入れるより、生活のついでに歩く仕組みをつくるほうが続きます。
今日は10分。
明日は休み。
またできる日に10分。
それでいいんです。

認知症予防は「歩くだけ」ではない
ここは大切です。
歩けば絶対に認知症にならない、ということではありません。
WHOの最新ガイドラインでは、身体活動だけでなく、禁煙、過度な飲酒を避けること、食生活、高血圧・糖尿病・コレステロールの管理、社会参加、聴力への対応なども重要とされています。
つまり認知症予防は一発勝負ではありません。
歩く+食べる+眠る+人とつながる+持病を管理する。
この組み合わせです。

「自分でできること」を奪わないのも介護予防
これは介護の場面でもかなり大事です。
年齢を重ねると、家族は心配になります。
「危ないから座ってて」
「私がやるからいいよ」
優しさから出る言葉です。
でも、まだできることまで全部やってしまうと、本人が体や頭を使う機会まで減ってしまいます。
洗濯物をたたむ。
お茶を入れる。
買い物について行く。
自分の服を選ぶ。
できる部分は本人に任せる。
難しいところだけ手伝う。
このくらいがちょうどいいこともあります。
家族からなら、
「危ないからやめて」
より、
「ここだけ一緒にやろうか」
のほうが本人も動きやすいです。

こんな変化があるなら「運動だけ」で済ませない
もの忘れが少しある程度なら、年齢による変化の場合もあります。
ただ、
同じ質問を何度も繰り返す。
慣れた場所で迷う。
お金の管理が急に難しくなった。
料理や薬の管理ができなくなってきた。
性格や行動が急に変わった。
こうした変化が続くなら、「もっと歩けば大丈夫」と済ませず、一度かかりつけ医や専門機関へ相談してください。
薬が必要かどうかも含めて、医療については本人の状態によって判断が変わります。
生活習慣と医療は、どちらか一方を選ぶものではありません。

まとめ
認知症予防というと、何か特別なことを始めなければと思いがちです。
でも最初の一歩は、もっと普通でいい。
玄関を出る。
10分歩く。
誰かと話す。
自分でできる家事を続ける。
たまには近場へ出かける。
こういう日常の積み重ねが、体力だけでなく、人とのつながりや生活の楽しさを保つことにもつながります。
完璧じゃなくていいんです。
今日、昨日より少し動けた。
まずはそこから。

Well Aging Support やわらぎでは、京都市周辺で、介護予防や健康づくりを始めたい方に合わせて、無理なく続けられる運動や生活習慣を一緒に考えています。
「まだ相談するほどでもないかな」という段階でも大丈夫です。
最近、体力が落ちてきた。
親が外に出なくなってきた。
もの忘れが少し気になる。
地域や施設で介護予防の取り組みを始めたい。
そんな小さな気づきの段階からご相談いただけます。
個人の方、ご家族、施設・地域団体の方まで、それぞれの生活や体力に合わせて「無理なく続けられる形」を一緒に考えます。
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