年齢を重ねると、ちょっとした段差や敷居でつまずきやすくなることがあります。
「足が上がらなくなった」
「歩幅が小さくなった」
「イスから立つときに、よいしょと言ってしまう」
そんな変化は、年齢のせいだけではありません。
骨盤まわりのかたさや姿勢のくずれが、歩き方に影響していることもあります。
転倒は、骨折や入院のきっかけになることがあります。
だからこそ、転んでから対策するのではなく、元気に歩けている今から体を整えておくことが大切です。
今回は、つまずき予防につながる「骨盤まわりの整え方」と、今日からできる簡単な体操を紹介します。
転倒は身近に起こる「介護予防」の大きなテーマ
転倒というと、外で大きく転ぶイメージがあるかもしれません。
しかし実際には、家の中でも起こります。
敷居、カーペットの端、電気コード、玄関の段差、布団のまわりなど、ほんの小さな段差でもつまずくことがあります。
特に高齢になると、転んだあとに骨折や入院につながることがあります。
入院をきっかけに体力が落ち、以前のように歩くことが難しくなる方もいます。
もちろん、必要以上に怖がる必要はありません。
大切なのは「転ばない体づくり」を、日常の中で少しずつ始めることです。
介護予防の視点では、転倒予防はとても重要です。
歩く力を守ることは、外出、買い物、人との交流、生活の楽しみを守ることにもつながります。
つまずきやすい人は「足」だけでなく骨盤まわりも見直そう
つまずきやすくなると、多くの方は「足の筋力が落ちたのかな」と考えます。
もちろん足の筋力も大切です。
でも、それだけではありません。
骨盤まわりがかたくなったり、姿勢が後ろに傾いたりすると、足が自然に上がりにくくなることがあります。
たとえば、長時間ソファーに座ることが多い方。
足を組むクセがある方。
腰まわりが重だるい方。
このような習慣が続くと、骨盤まわりの動きが悪くなり、歩くときの姿勢に影響することがあります。
姿勢が後ろに傾くと、体は無意識にバランスを取ろうとします。
その結果、歩幅が小さくなったり、すり足のような歩き方になったりします。
足がほんの少し上がらないだけでも、段差につまずく原因になります。
こんなサインはありませんか?
次のようなことがある方は、骨盤まわりや腰まわりのかたさを見直してみましょう。
・腰が重い、腰が痛くなりやすい
・長時間ソファーに座ることが多い
・靴底の減り方が左右で違う
・あぐらがかきにくい
・歩幅が小さくなった
・イスから立つときに「よいしょ」と言う
・最近、足が上がりにくいと感じる
いくつか当てはまる場合は、無理のない範囲で骨盤まわりを動かす習慣を取り入れてみるとよいでしょう。
今日からできる骨盤まわりの簡単体操
ここからは、自宅でできる簡単な体操を紹介します。
目的は、筋肉を強く追い込むことではありません。
骨盤まわりや太ももの裏をゆるめて、歩きやすい姿勢をつくることです。
痛みを我慢して行う必要はありません。
「少し伸びて気持ちいい」と感じるくらいで十分です。
タオルを使った前かがみ体操
床に座れる方は、タオルを使って太ももの裏をやさしく伸ばしてみましょう。
やり方は簡単です。
まず、足を前に伸ばして座ります。
タオルを足の裏にかけ、両端を手で持ちます。
そのまま、背中を丸めすぎないようにしながら、ゆっくり体を前に倒します。
ひざにおでこを近づけるイメージで、無理のないところまで倒しましょう。
10秒ほどキープします。
目安は、3回ほどです。
慣れてきたら、体調に合わせて少しずつ回数を増やしてもかまいません。
体がかたい方は、タオルを長めに持つと楽にできます。
ひざを軽く曲げても大丈夫です。
太ももの裏やおしりまわりがゆるむと、骨盤が立ちやすくなり、姿勢が整いやすくなります。
結果として、足が前に出しやすくなることが期待できます。
立ってできる腰回し体操
床に座るのがつらい方は、立ったままできる腰回しもおすすめです。
足を肩幅くらいに開きます。
両手を腰に当てます。
足は動かさず、フラフープを回すようなイメージで、腰をゆっくり大きく回します。
時計回りに10回。
反対回りに10回。
これを1セットとして、体調に合わせて1〜3セットほど行いましょう。
ポイントは、速く回さないことです。
ゆっくり大きく動かすことで、骨盤まわりの動きがわかりやすくなります。
「この方向は回しにくいな」と感じるところがあれば、そこは少し丁寧に動かしてみましょう。
ただし、痛みが出る場合は中止してください。
ふらつきが心配な方は、イスの背もたれや壁の近くで行うと安心です。
体操をするときの注意点
転倒予防の体操は、続けることが大切です。
でも、無理をする必要はありません。
次の点に気をつけて行いましょう。
・痛みを我慢しない
・息を止めない
・反動をつけて伸ばさない
・ふらつく場所では行わない
・体調が悪い日は休む
・腰や足に強い痛みがある場合は医療機関に相談する
特に、しびれ、強い痛み、歩きにくさが急に出た場合は、自己判断せず医師や専門機関に相談してください。
体操は「治療」ではなく、日々の体づくりの一つです。
体の状態に合わせて、安全に行うことが大切です。
家族がサポートするときは「できていない」ではなく「一緒にやろう」
親御さんの歩き方が気になると、つい「もっと足を上げて」「危ないよ」と言いたくなるかもしれません。
でも、言われた方は責められたように感じることがあります。
おすすめは、やさしい声かけです。
「最近、少し歩き方が気になるから、一緒に体操してみようか」
「転ばないために、私も一緒にやってみるね」
「1日30秒だけならできそうだね」
このように、本人だけに頑張らせるのではなく、一緒に取り組む雰囲気をつくることが大切です。
家族で一緒に体を動かす時間は、健康づくりだけでなく、会話のきっかけにもなります。
まとめ
転倒は、年齢を重ねるほど身近な問題になります。
しかし、必要以上に怖がる必要はありません。
大切なのは、今のうちから歩きやすい体をつくっておくことです。
足が上がりにくい、歩幅が小さくなった、腰まわりがかたい。
そんな変化に気づいたら、骨盤まわりをやさしく動かす体操を始めてみましょう。
タオルを使った前かがみ体操や、立ってできる腰回し体操は、短い時間でも取り入れやすい方法です。
毎日完璧にしなくても大丈夫です。
できる日から、少しずつ。
その積み重ねが、これからの歩く力を守ることにつながります。
最近、体力の低下や歩き方の変化が気になっていませんか。
「親がつまずきやすくなってきた」
「何から始めればいいかわからない」
「地域や施設で介護予防の取り組みを始めたい」
そのような方へ、Well Aging Support やわらぎでは、今の体の状態や生活に合わせて、無理なく続けやすい健康づくりをご提案しています。
まだ相談するほどではないかな、という段階でも大丈夫です。
個人の方、ご家族、施設、地域団体の方まで、まずはお気軽にご相談ください。


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