最近、何気なく口にしている言葉が気になることはありませんか。
「疲れた」
「もう歳だから」
「どうせ無理」
こうした言葉は、誰でも言うことがあります。
言ったからすぐに認知症になる、という話ではありません。
ただし、否定的な言葉が増えたり、何でも人任せになったり、外に出る機会が減ったりすると、心と体の活動量が少なくなりやすくなります。
脳の健康を守るうえで大切なのは、特別なことを急に始めることではありません。
日々の会話、体を動かす習慣、人との関わりを少しずつ整えることです。
今回は、認知症予防の視点から見た「気をつけたい口癖」と、今日からできるやさしい対策をお伝えします。
認知症とは、日常生活に支障が出るほど認知機能が低下した状態
認知症とは、記憶力や判断力、考える力などが低下し、生活に支障が出ている状態を指します。
たとえば、予定を何度も忘れる。
同じ話をくり返す。
お金の管理が難しくなる。
慣れていた家事や外出が不安になる。
こうした変化が続く場合は、年齢のせいだけと決めつけないことが大切です。
ただし、物忘れのすべてが認知症というわけではありません。
睡眠不足、ストレス、うつ状態、薬の影響、体調不良などでも、頭がぼんやりすることがあります。
気になる変化が続く場合は、脳神経内科、もの忘れ外来、かかりつけ医などに相談しましょう。
気をつけたい3つの口癖
「疲れた」「なんでもいい」「好きにして」
この言葉が増えている時は、体や心のエネルギーが落ちているサインかもしれません。
もちろん、本当に疲れている時は休むことが大切です。
無理に元気を出す必要はありません。
ただ、毎日のように「なんでもいい」「決めて」と言うことが増えると、自分で考える機会が少なくなります。
脳は、選ぶ、考える、判断する、行動することで使われます。
小さな決断でも、脳にとっては大切な刺激です。
たとえば、
「今日の散歩コースは右に行こうかな」
「夕食に野菜を一品足そうかな」
「明日は誰かに電話してみようかな」
このような小さな選択で十分です。
「もう歳だから」「もうダメだ」「どうせ自分なんて」
年齢を重ねると、若い頃のように動けない日もあります。
それは自然なことです。
でも、「もう歳だから」と何でもあきらめてしまうと、活動量が減りやすくなります。
活動量が減ると、筋力や体力が落ちやすくなります。
外に出る機会が減ると、人との会話も少なくなります。
その結果、脳への刺激も少なくなってしまいます。
大切なのは、「昔と同じように頑張ること」ではありません。
「今の自分にできる形に変えること」です。
10分歩くのがしんどければ、3分でも大丈夫です。
立って運動するのが不安なら、椅子に座って足踏みでも大丈夫です。
「もうダメ」ではなく、
「今日は少しだけやってみよう」
と言い換えるだけでも、行動のきっかけになります。
「昔はよかった」「今どきの若い人は」
昔を懐かしむことは悪いことではありません。
思い出話は、脳にとって良い刺激になることもあります。
ただし、批判や不満ばかりになると、気持ちが閉じこもりやすくなります。
新しいものを全部受け入れる必要はありません。
でも、「少しだけ知ってみよう」という姿勢は、脳にとってよい刺激になります。
スマホの写真を見る。
新しいお店の前まで歩いてみる。
孫や家族の話を聞いてみる。
地域のイベントをのぞいてみる。
こうした小さな体験が、脳の働きを支えるきっかけになります。
認知症を疑う話し方の特徴
認知症の初期には、話し方に変化が出ることがあります。
代表的なのは、言葉が出にくくなることです。
たとえば、物の名前や人の名前が出てこず、
「あれ」
「それ」
「あの人」
といった言葉が増えることがあります。
また、忘れていることを指摘された時に、
「ちゃんと見ていなかったから」
「テレビで言っていたけど覚えていないだけ」
「カレンダーを見ていなかったから」
など、取りつくろうような言い方が増えることもあります。
これは本人が悪いわけではありません。
忘れてしまった不安や恥ずかしさから、自分を守ろうとしている場合もあります。
家族が気づいた時は、強く責めないことが大切です。
家族ができるやさしい声かけ
もの忘れや否定的な言葉が増えた時、家族は心配になります。
でも、
「また忘れたの?」
「さっき言ったでしょ」
「ちゃんとしてよ」
と言うと、本人は傷ついたり、さらに不安になったりすることがあります。
おすすめは、責める言葉ではなく、一緒に確認する言葉です。
たとえば、
「一緒に確認してみようか」
「今日は少し散歩してみる?」
「無理しなくていいから、ここまで一緒に行こう」
「どっちがいい?お茶にする?散歩にする?」
このように、選択肢を少なくして声をかけると、本人も動きやすくなります。
大切なのは、本人の自尊心を守ることです。
できないことを責めるより、できることを一緒に見つける方が、生活の安心感につながります。
今日からできる認知症予防の習慣
1日10分の散歩から始める
歩くことは、体力づくりだけでなく、脳への刺激にもつながります。
外に出ると、景色、音、風、におい、人の動きなど、いろいろな情報が入ってきます。
これは室内にいるだけでは得にくい刺激です。
最初は1日10分を目安にしましょう。
難しい日は、家の中を歩く、玄関先に出るだけでもかまいません。
膝や腰に痛みがある方は、無理をせず、医師や専門職に相談しながら行いましょう。
人と話す機会を少し増やす
会話は、脳にとってとてもよい活動です。
相手の話を聞く。
言葉を選ぶ。
思い出す。
表情を読む。
これらを同時に行うため、自然に脳を使います。
毎日長く話す必要はありません。
家族にひと言あいさつする。
近所の人に「こんにちは」と声をかける。
電話で近況を話す。
地域の教室に参加する。
小さな交流を続けることが大切です。
「できたこと」を一つ見つける
否定的な言葉が増えている時は、自分のできない部分ばかり見えやすくなります。
そんな時は、1日の終わりに「今日できたこと」を一つだけ探してみましょう。
「散歩に出られた」
「洗濯物をたためた」
「家族に電話できた」
「朝ごはんを食べられた」
小さなことで大丈夫です。
自分を責める時間を少し減らし、できたことに目を向ける習慣は、前向きな行動につながりやすくなります。
無理なく続けるコツ
認知症予防で大切なのは、完璧にやることではありません。
続けられる形にすることです。
おすすめは、「ついで」に行うことです。
歯みがきのあとに、かかとの上げ下げを10回。
テレビのCM中に、椅子に座って足踏み。
買い物のついでに、少し遠回り。
朝のカーテンを開ける時に、深呼吸。
これくらいで十分です。
「毎日やらなきゃ」と思うと、しんどくなります。
できる日から、少しずつで大丈夫です。
まとめ
「疲れた」「もう歳だから」「どうせ無理」などの言葉は、誰にでも出るものです。
大切なのは、その言葉が増えた時に、自分を責めることではありません。
心や体の活動量が落ちていないか、少し見直してみることです。
認知症予防には、運動、会話、食事、睡眠、人とのつながりが関係します。
特別なことを始めなくても、日常の中にできることはたくさんあります。
まずは、今日できる小さな一歩から始めてみましょう。
もの忘れが急に増えた、性格が大きく変わった、生活に支障が出ているなどの場合は、早めに医療機関や専門機関に相談してください。
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