「人の名前がすぐに出てこない」
「さっき話したことを忘れてしまう」
「最近、頭の回転が遅くなった気がする」
こうした変化があると、少し不安になりますよね。
ただ、もの忘れがあるからといって、すぐに病気と決まるわけではありません。
脳も体と同じように、使い方のクセがあります。
毎日同じことのくり返しが多くなると、よく使う部分とあまり使わない部分の差が出やすくなります。
大切なのは、脳に少し新しい刺激を入れてあげることです。
特別な道具や難しい勉強でなくても大丈夫。
今日からできる小さな工夫で、思い出す力や考える力を支える習慣は作れます。
脳の老化は「年齢だけ」が原因ではありません
脳の働きは、年齢だけで決まるものではありません。
日々の生活習慣、運動、食事、人との交流、睡眠、外出の機会などが関わります。
国立長寿医療研究センターでも、認知症の予防には、定期的な運動、バランスのよい食事、社会活動への参加、人との交流や外出などを組み合わせることが大切とされています。
つまり、脳の健康づくりは「頭だけ」の問題ではありません。
体を動かすこと。
人と話すこと。
新しい景色を見ること。
少し考えること。
こうした日常の積み重ねが、脳への刺激になります。
「単純な毎日」が続くと脳が使われにくくなる
毎日同じ道を通る。
同じ時間に同じテレビを見る。
同じ会話をする。
スマホに予定や名前を全部任せる。
もちろん、決まった生活リズムは安心につながります。
高齢期には、生活が安定していることも大切です。
ただ、あまりにも変化が少ない毎日になると、脳への刺激が少なくなりやすいです。
すると、考える、思い出す、見て判断する、人に伝えるといった働きを使う機会が減ってしまいます。
その結果、名前が出にくい、段取りが苦手になる、外出がおっくうになるなど、生活の中で小さな困りごとにつながる場合があります。
「思い出す力」を支えるには、右脳への刺激も大切
テレビなどでも紹介されているように、漢字や図形を見て考える脳トレは、脳にいつもと違う刺激を入れる方法の一つです。
たとえば、漢字をパズルのように見て「これは何の字かな?」と考える。
ひらがなを並べ替えて、言葉を思い出す。
こうした作業では、文字を読むだけでなく、形を見る、意味を考える、記憶を探す、頭の中で音にする、という複数の働きを使います。
脳トレだけで認知症を完全に防げるわけではありません。
それでも、ふだん使っていない脳の働きを刺激する習慣としては、取り入れやすい方法です。
今日からできる「やさしい右脳トレ」
1日1問、漢字をじっくり見る
新聞、チラシ、本、看板などにある漢字を一つ選びます。
その漢字を「文字」ではなく「形」として見てみましょう。
たとえば、
「この漢字は左右に分かれているな」
「上と下で形が違うな」
「昔見たことがある字だな」
このように観察するだけでも、見る力や思い出す力を使います。
目安は1日1〜3分で十分です。
難しい漢字でなくて大丈夫です。
ひらがな並べ替えで言葉を思い出す
紙にひらがなを書いて、並べ替えて言葉を作ります。
例:
「きめせんん」→「せんめんき」
「のひんぶゆしん」→「しゅんぶんのひ」
ポイントは、答えがわかった瞬間に、声に出して言うことです。
声に出すことで、考える力だけでなく、聞く力や伝える力も使いやすくなります。
家族と一緒にクイズのように行うと、会話のきっかけにもなります。
いつもの道を少し変えて歩く
脳への刺激は、机の上だけではありません。
外を歩くことも、とてもよい刺激になります。
いつもと違う道を通る。
季節の花を探す。
看板の文字を読んでみる。
帰ってから「何を見たか」を一つ思い出す。
これだけでも、視覚、記憶、運動、注意力を使います。
厚生労働省関連の資料でも、運動不足の改善や社会参加は、認知症予防に役立つ可能性が示されています。
また、定期的な運動習慣が認知機能の低下予防に関係することも報告されています。
どのくらいやればいい?
最初から長時間やる必要はありません。
目安は、
脳トレは1日3〜5分。
軽い散歩は10〜20分。
家族との会話は短くても大丈夫です。
大切なのは、完璧に続けることではありません。
「できる日に少しやる」くらいが、長続きしやすいです。
週に2〜3回でも、脳と体に刺激を入れるきっかけになります。
慣れてきたら、少しずつ回数を増やしていきましょう。
高齢者が行うときの注意点
脳トレは、できない問題があっても気にしすぎないことが大切です。
間違えることも、考える刺激になります。
家族がサポートするときは、
「なんでわからないの?」ではなく、
「一緒に考えてみよう」
「惜しいね」
「今日はここまでで十分だね」
と声をかけると安心です。
散歩を取り入れる場合は、転倒に注意しましょう。
足元のよい道を選び、体調が悪い日は無理をしないことが大切です。
もの忘れが急に強くなった、同じ失敗が増えた、生活に支障が出ている、気分の落ち込みが続く。
このような場合は、早めに医師や専門機関へ相談しましょう。
まとめ
脳の老化は、年齢だけでなく、毎日の過ごし方とも関係しています。
同じことのくり返しが悪いわけではありません。
ただ、少しだけ新しい刺激を入れることで、脳は使われやすくなります。
漢字を見る。
ひらがなを並べ替える。
いつもと違う道を歩く。
見たものを思い出して話す。
どれも、今日から始めやすい方法です。
脳の健康づくりは、特別なことを頑張るよりも、生活の中に小さく入れることが続けるコツです。
「最近ちょっと気になるな」と思った時が、始めるよいタイミングです。
最近、体力の低下やもの忘れが少し気になっていませんか。
「まだ相談するほどではないかも」と思う段階でも大丈夫です。
Well Aging Support やわらぎでは、京都市周辺で、介護予防運動や健康づくりのサポートを行っています。
個人の方、ご家族、施設、地域団体など、それぞれの状況に合わせて、無理なく続けやすい方法を一緒に考えます。
運動だけでなく、生活習慣や日常の過ごし方も含めて、やさしく見直していきましょう。


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